じわじわと死が近づいて来る

ネビルシュート 「渚にて」 創元推理文庫 映画化もされ、その作品が賞もとり、何かと語られる事の多いこの小説。 ちなみに大阪のサイケバンドのバンド名の由来にもなっている。 一般的には名作とされているみたいですが、個人的にはあまりにも長すぎると感じ…

ケシ 阿片 モルヒネ ヘロイン

三留理男 「麻薬 ヘロイン」 光文社文庫 例えば中島らもの「アマニタパンセリナ」や石丸元章の「スピード」や麻枝光一の「マリファナ青春旅行」などは、麻薬の個人体験記としての名著でありいずれも楽しく拝読したのだけれど、この本はそれらとは少し違うテ…

タモリ

タモリ論 樋口毅宏 関西出身でダウンタウン世代の自分にとってタモリは一世代前の人というイメージだったし、「いいとも」における良く言えば安定した、悪く言えばヌルい笑いに批判的だった時期もあった。 そんな時、あるドラマをきっかけにタモリのイメージ…

高齢化社会の行く末は?

有吉佐和子 恍惚の人 この本の後に読み始めた樋口毅宏の「タモリ論」に偶然載っていたのだが、この「恍惚の人」が売れて儲かったお金で、新潮社の別館が建てられたそうだ。 1972年のベストセラーである。 痴呆になった祖父に右往左往する家族の物語を嫁目線…

苫米地さん

苫米地英人 音楽と洗脳 図書館で借りた本。 本来はCDが付属しているが、付いてなかった。 しかし読み物としてだけでも、大変、勉強になる本だった。 三平方の定理を発見したピタゴラスが最初に音階を発見した事。 そしてピタゴラスは学者としてではなく、宗…

いつのまにかディストピア

中原昌也 ノーマン・イングランド 小野寺生哉 寺沢考秀 ナマニク 鷲巣義明 高橋ヨシキ 「映画のディストピア」 劇団大人計画の主宰者である松尾スズキの小学生時代のエピソードで「神様コンプレックス」というのがあって。 神様が自分の行動や言動を常に見張…

殴り込み

ギンティ小林 新耳袋 殴り込み 第一夜 新耳袋シリーズの中でも「山の牧場」と「八甲田山」を収録した第四夜は異質だった。 幽霊の出て来るいわゆる「怪談」とは違う、この世のルールの埒外に存在する何かがこの世にぬるっと入り込んだ気持ち悪さ、まさしく「…

クラッシュ伝説

クラッシュ伝説 jicc出版局 ヴェルヴェットアンダーグラウンドで初めて買ったのは、「ライブアットマクシズカンザスシティ」だった。 なんてリズム感の悪い演奏だろうと思った。 ジャーマンロックのカンで初めて聴いたのは「フロウモーション」だった。 この…

ヘミシンク的

右と左のスピーカーから微妙に違う周波数の音を流すと、その間の周波数が脳波に同調する。 それをバイノーラルビートと謂うのだが、場合によっては体外離脱する事もあるそうだ。 どの周波数がどの脳波に呼応しているのかは、研究機関によって研究されており…

純文学の王道

中上健次 選集1 「枯木灘 覇王の七日」小学館文庫 読んでから少し時間が立ったので、印象が散漫になってしまった。 この物語は「血」と「地」を巡る物語である。 主人公の秋幸を中心とした一種のサーガである。 和歌山の山あいの閉鎖的な田舎町のどこか不穏…