いつのまにかディストピア
中原昌也 ノーマン・イングランド 小野寺生哉 寺沢考秀 ナマニク 鷲巣義明 高橋ヨシキ 「映画のディストピア」
劇団大人計画の主宰者である松尾スズキの小学生時代のエピソードで「神様コンプレックス」というのがあって。
神様が自分の行動や言動を常に見張っていると。で、神様を出し抜く為に例えば目の前の物を手に取る時も、普通に手を差し出すのではなく変な動きを加えたり、有り得ない場面で急に奇声を発したりしていたそうだ。
クセが強い奴つーか単なるキチガイじゃん。
と、大笑いしていたわけですが。
2018年現在これを大笑い出来ない状況だなと。
外に出れば監視カメラが溢れているし、スマホを開けば、自分の興味のある事やモノについての情報が用意周到に提供されている。
自分を取り囲んでいるのが購買意欲を煽る目的の「資本」だけであるなら、買わないという選択肢で対抗出来る。
恐ろしいのは思想や価値観、感情ですら誰かに導かれている可能性があるということ。
例えばあなたが左翼思想の持ち主だとして、左翼にまつわるワードばかり検索していると、いつしか自分自身の左翼思想を補完する情報ばかりに取り囲まれる事になる。
仮に極端な差別思想であっても、人を殺してみたいというネガティブな感情であっても、ネットなら簡単に賛同者を見つけることができるだろう。
ヘイトデモをやっている連中などは大方こんなところだろう。
他人事ではない。
自分自身の情動すら疑わなければいけない。
正にディストピアである。