タモリ

タモリ論 樋口毅宏

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関西出身でダウンタウン世代の自分にとってタモリは一世代前の人というイメージだったし、「いいとも」における良く言えば安定した、悪く言えばヌルい笑いに批判的だった時期もあった。

そんな時、あるドラマをきっかけにタモリのイメージが変わったのだった。

歌手デビューする前の浜崎あゆみが女子校生を演じ、その相手役としてタモリが地味な中年教師の役で出演していた。

連続ドラマではなく、1回だけの2時間ドラマだったと思う。

タイトルも内容も憶えていない。

その時初めてサングラス姿ではない普通のメガネを掛けたタモリを見たのだ。

つまり普段はサングラスの奥に隠れているタモリの目を目撃したのだ。

「ナニカコノオトコハヘンダゾ。ナニカアルゾ。」とその時思ったことは良く憶えている。

全てを諦めた者にしか出せない猛烈な虚無感と脱力感。

これはドラマの役柄なんだろうけど、タモリという男の実相なのでは?と。

あと、そのすぐ後ぐらいにデビュー当時にリリースした2枚のLPがCD化されて、ジャケットに載ってる若かりしタモリの写真も何だか変な感じがした。

お笑い芸人らしく妙な扮装をしたタモリの写真なのだが、そこでも目が露出していた。

その目は、はやり虚無的にも、悲しみを湛えている様にも、危ない変質者の様にも見えた。

ますますタモリという男が気になる。

そんなこんなでタモリに改めて注目してみると、タモリタモリ自身に熱を持って支持して来るヒトに対して妙によそよそしく、居心地悪い様な接し方をしているのに気づいた。

俳優の井浦新タモリを師匠だと思っていると言った時のその後のギクシャクした会話、氣志團綾小路翔が廃盤LPの「タモリ3」を持って現れた時は「よく見つけたねえ」の一言だけだったし。

この辺の問題に関しては石川誠壱氏の「誠壱のタモリ論」が詳しい。

というかタモリ愛が強過ぎてタモリにそっぽ向かれた人は数多くいるが、この石川誠壱氏はその最右翼と言えるだろう。

あわせて併読をお薦めする。

ただこの本、世田谷ボロ市で出したミニコミなのでネットでしか手に入らないけどね。

果たしてコージー冨田といつ共演するのだろうか?